ワクワク挑戦ストーリー
ズレにくさを追求したサポーター
ぴたコル、ぴたサポシリーズ
細かな要望に応えて代表的な製品に!
バリアスツイスト
未知の分野にも挑戦
車いす用グローブZERO
進化し続けるアシストスーツ
DARWINGヒストリー
もう一度、自分の脚で歩けるように
AIVA(アイバ)
労働現場の身体負荷を事前にアラート
SING(シング)
ズレにくさを追求した
サポーター
ぴたコル・ぴたサポシリーズ
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開発経緯
様々なコルセット・サポーターが販売されている中で、ダイヤ工業ならではのモノづくりとは何かを考え、当社のコルセット・サポーターで使っている素材と構成するパーツを見直し、ゼロから開発に取り組むことを決めました。
素材メーカーさんにヒアリングし新しい素材を探しながら、100円ショップやホームセンターなどで部品を購入して構造を議論するなど、試作品を作って試すことを繰り返し行いました。その中で特定の体型や動作によっては長時間装着すると機能が弱くなっていくことに気付きました。この機能低下の原因はしゃがみ動作を行う際の“ズレ”でした。特に細身の方に顕著に表れていたのです。一般消費者向けのコルセットの調査資料の中にも機能的な問題点の中で“ズレ”が大きな割合を占めていることも分かり、“ズレないコルセット・サポーターの追求”をテーマに掲げました。
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試作中に困難だったこと・
解決のアイデア
“ズレ”に対してもっとも効果的であると考えていたすべり止め素材は一度ズレると元に戻りにくくなり、伸縮素材を多く使うと腰の安定感が損なわれてしまいます。すべり止め素材と伸縮素材のバランスを試行錯誤していく中で、しゃがんだ時に皮膚の伸びが大きい部分があることに着目しました。動いた時に皮膚のどこが伸びるかを検証するために身体にマーカーを貼り付け、細かく見ていきました。その伸び方向を参考に伸縮方向やすべり止めの場所を決めて、ズレを抑える構造を実現しました。
また、ぴたコル、ぴたサポニーともにズレを検証するためにしゃがみ動作を模してスクワットを行っていました。伸縮部分の面積を模索している時は似たような試作品をつけ比べて、試作1点につき120回ほど行っていたので、開発メンバー全員筋肉痛で、ぴたサポニー開発時は業務中ほとんどハーフパンツ姿でした。
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こだわったポイント
服の中に装着しても外観に違和感が少ない、薄くて目立ちにくい、それでいて着け心地の良いコルセットにするために高い伸縮、形状安定性と変形からの回復力を有した素材で構成しています。また、当時コルセットの腹部にあたる前立てと呼ばれる部分は支持性を重視するために硬いメッシュ素材で構成されることが主流でしたが、この素材は支持性が高い反面一度折り癖がついてしまうと変形して元に戻りにくくなります。コルセットとしての支持性を持たせながらこの折り癖問題を解決するために前立ての成型加工に挑戦することとなりました。
折れても癖がつかないということは折れても元に戻るという素材感にしなくてはなりません。パイル素材と肌面の素材の間にウレタン材を配置し、3層の構造にすることで回復力の高い素材構成にしています。さらに成形型に溝を配置し、あえて折り目をつきやすく誘導することで折れた時にシワが寄りにくく、長期間使いやすいものにしました。
嬉しかった声
当社1階にあるDAIYA FACTORYにコルセットの買い替えに来られるお客さまから「薄手で柔らかく、長時間装着できそう」や「夏場の薄着の時期でも装着しやすい」、「フィット感があって、着け心地が良い」などを理由に選んでいただけることが嬉しく思います!
細かな要望に応えて
代表的な製品に!
バリアスツイスト
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リニューアル経緯
骨盤ベルトのバリアスツイストは滑車の原理を応用し、力の弱い方でもしっかりとした締め心地を体感できるオリジナル構造で発売から長年ご好評をいただいていましたが、「こうなったらもっと良いのに」と細かな要望も届いていました。具体的には、お客さまからは装着の際に引っ張る補助ベルトが背中側にあるため、手探りで掴んだ時に左右が分かりにくい、製造現場からはパーツが多く縫製が難しいなど。機能面は良い製品と自信があったため、これらの装着面・製造面の要望にも応え、もっと喜ばれる製品に改良しようと考えました。
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試作中に困難だったこと・
解決のアイデア
<装着面>
補助ベルトを左右間違えないよう、視界に入らなくても端が勝手に引っ張る方向に向けば良いのではと考えました。ベルトの向きを変えるためベルトを折り曲げて縫製しガイドを作ったり、角カンを2個重ねたり試行錯誤しましたが思うような結果は得られず、ついに新たな角カン開発に取り組みました。何度かそのやり取りを繰り返し今のパーツの原型サンプルが上がってきたときには「最高じゃん!」と皆で喜びを分かち合ったのを覚えています。オリジナルの成形パーツにはブランドであるbonboneの想いを込めてBBというコードネームを付けました。
<製造面>
ベルトの縫製が浅くなり端付近を縫って装着時に外れやすくなるという問題を解決することが困難でしたが、アイデアとしてそもそもベルトから端を無くせば外れなくなると考えました。そこで、ヒントにしたのは折り紙です。2本のベルトで構成していた構造を1本のベルトで成立するように、ベルトを三角に折り曲げ三角部分を縫製するようにしました。部品数や工程数も減り製造しやすくなった上に、見た目にもシンボリックなデザインになりました。
こだわったポイント
製品を決定する前に当時の社長(現会長)から「すべての方がバリアスツイストの機能を実感できるようにしてください」という指示を受けました。改良前の製品では装着手順が難しいという課題があり、よく理解した人が説明しないと機能を実感してもらえない状況がありました。
そこで補助ベルトの長さも本体を巻いた時にちょうど引っ張りやすい位置にあるよう設計したり、装着手順を妨げるトラブルの対処法を検討したりと、装着手順に関する仕様にはかなり気を配りました。また取扱説明書も絶対に手順を間違えないようにイラストに工夫を加え、製品化決定直前の段階ではダイヤ工業を訪問される製品を全く知らないお客さま全員が問題なく装着できるのか試作品と取扱説明書のみを渡して検証を行い、見事に全員が正しく装着できるところまで確認できました。
嬉しかった声
バリアスツイストを長年使ってくださっていた施術院の先生から、「すばらしい改良だから開発者を表彰して欲しい」というコメントをいただきました!また、オリジナルの角カンは評判がよく、メーカーや販売商社を通じて「使わせて欲しい」という問い合わせがたくさん入ってきたと連絡をもらい、誇らしくなったのを覚えています。もちろん今後は世界中の多くの人にも自由に使ってもらえたらと考えています。
未知の分野にも挑戦
車いす用グローブZERO
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開発経緯
頚髄損傷・脊髄損傷の方のコミュニティに訪問する機会があり、そこで車いす用のグローブはメンテナンス(ゴム交換)の費用が高い、装着がしにくい、などの悩みがあり、是非ダイヤ工業のノウハウを活用してこの悩みを解決するようなアイテムを作って欲しいという声をいただきました。それまで当社では車いす用のグローブを取り扱っていませんでしたが、相談していただいたことが嬉しく、何とかしたいと開発に着手しました。
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試作中に困難だったこと・
解決のアイデア
対象の方が身近にいない為、試作をしてもそれが本当に良いかイメージしにくく、ヒアリング先も少なく苦戦しました。リハビリ施設や新たなコミュニティに訪問し、ヒアリングをしたり、生活の様子を動画に撮らせてもらったりと、動き方や車いすのこぎ方を研究しました。
また、当時は今のように耐久試験機等の設備が整っていなかったので、滑り止めの耐久試験を自転車のタイヤを使って行っていたのです。具体的には、1人がスタンドを立てた自転車を漕いで、1人が回転するタイヤに試作を押し付けるという方法です。滑り止めのゴムと自転車のタイヤが摩耗してゴムの粉が大量に舞うので耐久試験をするたびに全身真っ黒になっていました。
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こだわったポイント
従来の車いす用のグローブは人差し指と親指の穴があり、そこに指を通して装着するものが一般的でした。いろんな方と関わっていく中で対象の方は指も動かしにくい方が多いことが分かり、指の穴をなくし装着しやすく使いやすいグローブになるよう考案しました。また、従来の車いす用のグローブは滑り止めのパーツが縫製されていて、交換時に一度グローブを預けて縫い直してもらう必要があったため、時間もコストもかかっていました。縫い付けるのではなく、面ファスナーによる取り付け式にしたことで、グローブを預ける必要がなく、さらに低コストでの交換を実現できました。
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ショートタイプ
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ロングタイプ
嬉しかった声
上肢の筋肉の衰えの為に自走車いすから電動車いすへの変更を余儀なくされていた方が、車いす用グローブZEROを使用することでまだ自走車いすの使用を続けられるようになりお喜びの声をいただきました。(車いすユーザーにとって自走から電動に代わるのは肉体的にも精神的にもダメージが大きいそうです。)自分で開発した製品が人の役に立っているということを感じることができ、とても嬉しく思いました。
進化し続けるアシストスーツ
DARWINGヒストリー
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開発経緯
身体に違和感が出てから使うという従来の医療用サポーターではなく、日常や仕事に支障を出さないために、そして、いつまでも人生を楽しみ、自立した生涯現役の生活を過ごしたいというご要望に対し、我々が半世紀の間に培ってきたサポート技術で応えたいと考えました。当社は岡山大学との共同研究による空気圧を応用した人工筋肉を搭載した握力支援のパワーアシストグローブを実用化しており、その技術をフィッティング技術や人体のサポートノウハウと掛け合わせ、全身のアシストスーツを作れないかと構想しました。基本の全身サポート機能確立のための第1弾製品として、日常的に着ることができ、全身の運動器を支援するアシストスーツDARWING(ダーウィン)の開発はスタートしました。
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試作中に困難だったこと・
解決のアイデア
身体は深層と表層の様々な筋肉の働きによって、関節の安定や、歩行、ねじり動作、反るなどの動きを行っています。この筋肉の複数の動きを一定の収縮しか行わない生地を同一面上につなぎ合わせ、1枚のウェアの形状で再現することは難しく設計には時間がかかりました。まず、全身の筋肉を模したパーツを作り1着のウェアにまとめました。期待感を抱きながら初めて完成した最初のサンプルを着用しましたが、直立不動で動けないウェアが出来ていました。これは背と腹、前後のような拮抗するサポートが、お互いを引っ張り合っていたことが原因でした。その後も欲しい動きを持つ筋肉に絞り、起始・停止を調べ直しながらサポートの配置を繰り返していましたが、上手くいきません。試行錯誤を繰り返しながら筋肉の持つ役割を出すことに重点を置き、動きに合わせて微調整していき、ついに2種類のサポートを物理的に浮かせた、深層ベースと表層サポートの2層からなる特徴的なダブルレイヤー構造が完成しました。
1層目の深層ベースには、テーピングやコルセット機能を応用したサポートラインを樹脂プリントで再現し、身体の安定感を高めます。2層目となる表層サポートは、ゴムのような張力を利用して引き上げや振出しといった動きを助けます。
このサポートパーツは形状・張力・配置場所を組み替えることで様々な動きをダイレクトにアシストします。このような要素から、サイズだけではなく、こういった身体の動きを制限・アシストしたいという要望に対して、柔軟に応えられる機能のオーダーメイドが可能なアシストスーツができました。
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こだわったポイント
日常的にも着続けられるように着心地にもこだわりました。約半年間、毎日着用して過ごし、着たままプールで泳いだり、脱がずに用を足せないかお尻部分をパカっと開いて試したり、少しでも気になる箇所はその都度カットパターンを修正しました。当時、コルセット・サポーターで使っていた素材では理想的な着心地が出せず、使用したことがなかった伸縮性の高いインナーウェア資材を多数取り寄せて、肌触りを確認しながら選定しました。肌あたりを考え、サポートラインは樹脂プリント加工で縫い目を少なくし、縫製もあたりの少ないフラットな縫い目に仕上がる特殊ミシンを導入しました。
嬉しかった声
歩くことが困難だった方から「DARWINGスタンダードモデルを着て長時間の散歩に出かけることができ、ついに諦めていた旅行にまた行くことができました」との声をいただきました。
また、オーダーメイドDARWINGが障害者スポーツ選手の間で広がってきていることが嬉しいです。義足は切断端にカポッとはめ込み重いものがぶら下がっている状態です。DARWINGを着ることで身体と一体感がでると声をいただきます。これも、オーダーメイドで左右非対称な設計ができるからこそ、対応できているんだなと実感しています。
DARWINGのこれから
アシストスーツDARWINGは、その名前の通り使用シーンや対象者にあわせて柔軟に進化してきました。様々な動きに対するニーズに応えるべく、当社の開発メンバー全員でアイデアを出し合いながら、今では日常生活だけでなく、スポーツシーンや労働軽減、リハビリアシスト等に使っていただけるアシストスーツブランドとなりました。多くの方がいつまでも活動的に人生を楽しむために、これからもDARWINGは進化の歩みを止めません。
もう一度、自分の脚で歩けるように
AIVA(アイバ)
Artificial Intelligence + Vitality Assistance
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後天的に事故などで歩くことが難しくなってしまった車いすユーザーの方が、もう一度、自分の脚で歩けるように支援をしたいと考えています。大好きな人と手を繋いで歩きたい、家族と気軽に旅行したいなど、その先の目標があるからこそ歩きたいという思いが生まれます。歩行という動作を支援するだけでなく、目標に沿った精神的な活力を含めて支援できるモノを創造したいと感じたことが、AIVAの開発背景に繋がっています。
フィッティング技術や人工筋肉など当社のノウハウと人工知能をあわせることで、人間の動きを学習し、個人に合わせた歩行支援が可能なアシストスーツを目指しています。もう一度歩きたいと願う車いすユーザーの方が、自分の脚で活動的に過ごす世界を実現するため、AIVAの開発に取り組んでいます。
労働現場の身体負荷を事前にアラート
SING(シング)
Seamless and Intelligent Navigation Garment
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SINGは“社会が笑顔になる”を指針に、当社の技術と知見を最大限に駆使し、日常に溶け込む健康の実現を目指すプロジェクトです。日常動作から「リスク」や「体調変化」などの情報をリアルタイムに通知し、健康管理をサポートする仕組みの開発に挑戦しています。自覚のない体調変化を可視化し、早期対策に繋げ、多くの方に日々を健康的に笑顔で過ごしていただくことが目的です。
まずは過酷な労働現場の身体負荷を可視化します。姿勢や動きを感知するウェアラブルデバイスを身に着け作業をすることで、作業姿勢の崩れなどで蓄積する身体負荷で腰トラブルが起こる前に、アラートで知らせます。管理者はデータを基に作業の割り振りを行うことができ、身体トラブルが起こる前に改善できる環境作りを目指します。